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看護師のキャリアデベロップメント(Career development)

1.はじめに

新入職員面接時に「将来は〇〇の資格を取りたいと考えています」と耳にすることがあります。

〇〇の資格とは、認定看護師や専門看護師、診療看護師などなど様々です。

 

卒後概ね5年以上キャリアを積むといろいろな道に進むことができますが、その一方でキャリアを積んだベテランナースや管理職の方々でも、それぞれの認定や特定行為研修、診療看護師についてよく知られていないのではないでしょうか。

今回は認定・専門・特定行為研修・診療看護師についてまとめてみます(2021年12月時点)。

2.看護師が卒後得られる資格・研修の全体像

名称

診療看護師(NP教育課程修了者) 専門看護師 認定看護師(A課程) 認定看護師(B課程特定認定看護師) 特定行為研修を修了した看護師(特定行為看護師という施設もある)

条件

5年以上の実務経験 5年以上の実務経験(うち3年以上は専門看護分野) 5年以上の実務経験(うち3年以上は専門看護分野) 5年以上の実務経験(うち3年以上は専門看護分野) 概ね3~5年以上の実務経験
特徴 医師や多職種と連携・協働し、一定レベルの診療を行うことができる看護師 患者の直接ケアと医療従事者の連携を図る看護ケアのスペシャリスト(13分野の専門看護師)

臨床現場で水準の高い看護技術を実践できる「臨床現場におけるエキスパート」(21分野)※2026年をもって教育課程終了

臨床現場で水準の高い看護技術を実践し、手順書に従って修了した特定行為を実施できる看護師(19分野) 手順書に従って修了した特定行為を実施できる看護師
教育・審査 日本NP教育大学院協議会及び日本看護系大学協議会が認定する大学院で修士課程を修了し認定審査に合格 看護系大学院で修士課程を修了し認定審査に合格 認定看護師教育機関で6ヶ月以上、1年以内で600時間以上のカリキュラムを受講 認定看護師教育機関で1年以内で800時間以上のカリキュラムを受講 国の定めた指定研修機関で研修を履修(315時間+15~72時間)
認定機関

日本NP教育大学院協議会(JONPF)

日本看護系大学協議会(JANPU)

日本看護協会 日本看護協会

日本看護協会

厚生労働省

厚生労働省
備考 国立病院機構など一部の病院で処方や医療処置などの診療行為を実施する看護師で、医局に所属する例が多い 認定看護師との違いは倫理調整や教育や研究をすることだが、実際の臨床では同様な勤務形態が多い 認定看護師教育のみの養成施設をA課程といい、A課程卒業の認定看護師は、認定看護師の名称となる 認定看護師教育と特定行為研修を同時に受講することができるのがB課程で、既卒の認定看護師が特定行為研修を修了すれば特定認定看護師になれる 看護師資格を有する看護師が特定行為研修を修了したのが特定行為研修修了看護師で、施設によっては特定看護師という

診療看護師と専門看護師は比較的わかりやすいと思います。

一方、認定看護師にはA課程とB課程がありますが、この違いを解説します。

 

認定看護師のこれまでの教育課程は、認定看護師のみの教育で600時間の受講時間でした。

2020年度から新たな認定看護師制度として、特定行為研修を組み込み800時間の受講時間となっています。

このコースを認定看護師教育B課程といい、認定看護師に加えて特定行為研修も修了するので、日本看護協会は"特定認定看護師"という名称を用いています。

 

従来の認定看護師教育課程はA課程といい、21分野あります。この認定看護師教育A課程は、2026年に教育を終了します。

つまり、2027年度からは認定看護師教育B課程のみの教育となるということです。

 

ちなみに既に認定看護師である看護師が特定行為研修のいずれかを修了すると、B課程修了者すなわち特定認定看護師となります。

その例えとして、集中ケア認定看護師が特定行為研修を修了すると「クリティカルケア認定看護師」という名称になります。

3.特定行為研修のみ修了した看護師

看護師資格を持ち、特定行為研修を修了した看護師もいます。

この場合、名称は特定看護師といいます。看護師資格+特定行為研修修了者です。

看護師の資格の範囲に加え、修了した特定行為を医師の指示書の範囲内で実施することができます。

 

代表的な特定行為が水・電解質の調整があります。医師の作成した手順書に基づき、手順書の範囲内の病状であれば投与されている点滴の量や速度の調整や、経腸からの水分投与量の調整を行います。

4.診療看護師(NP教育課程修了者)

診療看護師は日本NP教育大学院協議会及び日本看護系大学協議会が認定する大学院で修士課程を修了後、認定審査に合格し、一定レベルの診療を行うことができる看護師です。近年、診療看護師の教育にも先述した特定行為研修が組み込まれており、卒後に特定行為として手順書に基づき特定行為を実施する診療看護師もいます。

 

日本NP教育大学院協議会及び日本看護系大学協議会が認定している資格で、国立病院機構など一部の病院で処方や医療処置などの診療行為を実施しています。

国立病院機構以外の施設でも所属する施設の裁量により違いがあるようですが、処方や医療処置などの診療行為を実施している施設もあるようです。また、看護部所属の診療看護師もいれば、医局に所属する診療看護師もいます。

5.認定・資格は違うけれどベースは看護師

看護師の役割拡大に注目や期待が集まったのは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者を迎える2025年問題でした。

医師、看護師を含め、医療全体が構造を変えなければ2025年問題とそれ以降の人員不足に対応できない課題に直面していました。

そこでタスクシェアリング、タスクシフティングといった看護師の役割拡大に注目が集まったのです。

 

また、医師の働き方改革も看護師の役割拡大、タスクシェアリング、タスクシフティングを後押ししたようです。

従来医師しかできなかった医行為を、研修を修了した看護師に役割を拡大し、安全かつ迅速に質の高い治療やケアを患者が受けられることが最大の目的です。恩恵を受けるのは患者もそうですが、私たち看護師も患者の回復に直接関わることができるので、恩恵を受けていると感じます。

 

以下の記述は私見も含まれていることをご承知ください。

認定看護師や専門看護師、特定行為研修を修了した看護師や診療看護師など、ベースは看護師という資格に違いはありません。

我々看護師はもっと知識と技術を研鑽し、患者にニーズに相応する看護師として可能なmedical workをタイムリーに提供し、患者の状態悪化を未然に防ぐような役割拡大をすべきではないかと考えています。

 

来年度の基礎教育カリキュラムから臨床判断能力等を強化するための時間枠が組み込まれるようです。

医師だけではなく、看護師も病態生理および臨床判断の根拠となる知識をより深く理解し、患者のニーズに適切に対応するmedical workの質を高めるための知の思考を磨くカリキュラム改正ではないかと思っています。

 

※注意※

各種資料を参考に作成しています。ご意見、コメントがあれば以下のリンクよりお願いします。

記:YM

記:TS