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<連載:新人教育>第3回「自己決定性を育む」

自己決定性を育む

学習において、殊に重要な要素は「自己決定性」ということです。

成人学習者は学習プロセスにおいて自己決定力や判断力が洗練されてゆきます。

 

つまり、学習者は最初から学びの対象に関する高い自己決定性を身に着けているわけではなく、意図的な学びという経験を積み重ねながら、自己決定性が養われてきます。この自己決定性が育まれることが成人学習の到達目標である自己教育へと繋がってゆくのです。

自己決定型学習の要素

自己決定性は表に示すように、幾つかの能力を養うことによって培われてきます。

  • 好奇心を発展させる能力(問題関心を広げられる能力)
  • 自身を客観的に認識し、行為に対するフィードバッグを素直に受入れる能力
  • 自身の学習ニーズについて種々な情報と照らし合わせて分析する能力
  • 学習課題について行為の成果を記述して明確にする能力
  • 人的、物的、経験的資源を様々な学習課題を達成する目的に沿って明らかにする能力
  • 適切な学習資源を効果的に用いる方策を決めることのできる能力
  • 学習計画を体系的に筋道を立てて実施する能力(論理的思考能力の糸口)
  • 学習課題の達成を示すものを集めて、有効性について活動を通して確認する能力
  • 教育・学習効果を高める環境の工夫(個別教育ができる仕組み)

したがって、自己決定性を身につけるための現実場面を想定した学習支援の実践プログラムが最も効果的だと思います。

プログラムを実践するに際しては、学習の積み重ねが行われたならば、学習者の経験を引き出すために意図的に参加体験型技法を積極的に取り入れながら、学習者が自身の学びを対象に如何に応用するかを計画した内容を演出などの工夫があるとよいでしょう。

その結果、学習者が自身の経験を客観的に眺め『学び方を学ぶ』支援ができるといいですね。

学び方を学ぶ

学び方を学ぶことによって、学習者自身が学習すべき項目を発見することが可能となってきます。

このような変化があったなら、教育指導者は学習者に興味や疑問を抱かせる内容を提示して発想力の育成を目的とした課題を提供することができます。この何回かの積み重ねにより、臨床の看護実践にエビデンスを結びつける学びを身につけるようになると考えます。

 

次に、学習すべき関連領域全体に広がりながら徐々に基礎と臨床の統合させる学びをするようになります。

さらに進むと、臨床推論、人間関係、態度、倫理・疫学、保健・行動心理等と照らし合わせながら、臨床問題の解決方法を学ぶように変容してくるように仕向けられたらベストです。

 

このプロセスにおいて重要な共通キーワードを幾つかあげることができます。

それは、学習課題に対して理論と現実の不一致、戸惑い、困惑、問題の見極め、探求、振り返り、新たな方向付け、発見の分かち合いなどです。

一人前になる責任と役割

一方、このプログラムには、教育指導者役割と学習者役割の責任と義務、権限が明確化された内容に組まれていることも重要なポイントです。何故なら、責任所在や役割、指示命令の仕組みが不明瞭なプログラムでは、決定・判断する主体がファジーになってしまうからです。このことは、組織の中で新人看護師として学習を積み上げながら一人前になる責任と役割を自然に学んでゆくことにも繋がります。

 

教育プログラムの基本は、新人看護師が自己決定性を身につけるための学習プロセスに焦点をあてることが必要です。

また、このプログラム実践については、その職場のすべての人々が、内容と方法を理解・共有して行動しているか否かが重要な意味を持つことになります。

 

第4回に続く...

記:YM